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ヨット教室

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第16回

 日曜日、横浜マリーナは、ヨット教室の生
徒たちで賑わっていた。

 横浜マリーナ側も、事務スタッフ、運営ス
タッフともスタッフ総出で、生徒たちの対応
に大忙しだ。20代の生徒が最も多いが、3
0代、40代の生徒もけっこういる。中には
50、60代の生徒もちらほら見かけた。

 男女比でいうと、毎年6:4ぐらいの割合
で女性の参加者の方が多い。男性よりも女性
のほうが新しいことへのチャレンジ精神が旺
盛なのかもしれなかった。

 夫婦でペアで参加している生徒もけっこう
いる。ヨット教室でヨットの操船を覚えて、
いつかは夫婦で自分たちのヨットを所有した
いと習いに来る人も多いのだ。
 そういう夫婦ペアの参加者は、横浜マリー
ナとしても大歓迎だ。ヨット教室でヨットを
覚えて、自分のヨットを購入したら、そのヨ


ットを横浜マリーナに保管してくれるではな
いか。

 これからヨットを覚えて、自分のヨットを
持ちたいという生徒は夫婦以外にも多いよう
だ。
 中には、金髪の外国人の生徒さんもいて、
黒髪の日本人が多い中で、金髪の外国人の姿
は目立つので、マリーナに船を置いているメ
ンバーの間でも、今年のヨット教室の生徒に
は外国人がいると話題になっていた。
 その生徒が自分のヨットに振り分けられた

ら、ヨットを英語で教えなければならないの
ではないかと不安になるメンバーもいた。

 今日一日は、学科教習なのでマリーナスタ
ッフが生徒たち皆に教えてくれるが、来週か
らは、生徒たちは各艇に振り分けられて、そ
れぞれの艇のオーナーさんたちに生徒の教習
は委ねられるのだ。

 そのため、誰の船に、その外国人が振り分
けられるのかで話題になっていたのだ。
 なにしろ外国人に教えるとなると、英語で


教えなければいけないのではないかとオーナ
ーたちの間では、語学に関する不安があるよ
うだった。

 そんな中、アメリカ留学から帰ったばかり
の麻美は、語学には自信があった。
 むしろ、アメリカでせっかく覚えた英語を
忘れたくなかったので、その外国人が、うち
の船に振り分けられるといいなって密かに思
っていた。英語が得意でない隆は、もし外国
人がうちの船に来たら、教育はすべて麻美に
任せようと思っていた。

「今日は少し早めに帰ってこよう」

 隆は、麻美に言った。

 いつも、船を出航すると夕方遅くまでセイ
リングをしてから帰って来ていた。
 でも、今日は夕方、学科教習が終わると、
生徒たちの各艇への振り分けがあるので、各
艇とも、それまでにマリーナに戻って来て、
生徒たちの受け入れをしなくてはならなかっ
たのだった。


 生徒たちの受け入れがあるため、寒い季節
は、あんまりヨットを出航させていなかった
船のオーナーさんたちも集まって来ているの
で、いつもの日曜日よりも、横浜マリーナを
出航する船の数も多かった。

 ヨット教室が始まって、各艇に生徒たちが
振り分けられると、その生徒たちをヨットに
乗せて教えてあげなければならない使命感み
たいなものが、各艇のオーナーたちの中にも
芽生えるのか、どの船も毎週、ヨットを出航
させるようになり始める。

 毎年、春のヨット教室が始まると、横浜マ
リーナのマリンシーズンも本格的にスタート
する感じだった。

第17回につづく


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