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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第17回

「私が生徒を迎えに行ってこようか」

 デーセイリングから横浜マリーナに戻って
きて、ヨットの後片付けに忙しそうな隆に、
麻美は言った。

 これからクラブハウスで、ヨット教室の生
徒たちの各艇への振り分けがあるので、振り

分けに参加する艇のオーナーは、クラブハウ
スに集まらなければならなかった。

「お願いします」

 隆は、バラバラに広がっているセイルの後
片付けをしながら、麻美に言った。
 麻美は、自分も後片付けをしていたのだっ
たが、その手を休めて、バッグを持って船を
降り、クラブハウスに、うちの船に振り分け
られるはずの生徒を迎えに行った。


 クラブハウスは、ヨット教室の生徒や迎え
に来た船のオーナーたちで大混雑だった。

 暁のヨットのオーナーさんも、自分の生徒
を迎えに来ていた。

「はい!皆さん、ちゃんとロープワークはで
きましたか?」

 ヨット教室の生徒たちは、ちょうどロープ
ワークの学科教習を行っているところだ。
 生徒たちは皆、マリーナから手渡たされた

1mぐらいのロープを相手に、初めて結ぶヨ
ットの結び方がよくわからずに、悪戦苦闘し
ていた。

 それをマリーナのスタッフが一人ひとり、
生徒たちのところを周って指導しているのだ
が、生徒の数がスタッフの数よりも多すぎて
手が回り切れていない。

 教壇に立っているスタッフの先生が、集ま
って来たオーナーさんたちにも側にいる生徒
さんで結び方のわからない生徒さんがいたら


教えてやってくれとお願いしていた。

 麻美も、ちょっと前、冬までは、ロープの
結び方など全くわからず、よく隆に怒られて
いたが、さすがに今は基本的なロープの結び
方ぐらいなら出来るようになっていた。
 側にいた女の子の生徒が、もやい結びの結
び方がよくわからずにいたので、麻美は、そ
の子に結び方を教えてあげた。

「だいたい皆さん、ロープの結び方はわかり
ましたか!?もやい結びという結び方だけは

しっかり覚えておきましょう!」

 教壇のマリーナスタッフの先生が、生徒た
ちに教壇から叫んでいる。朝から大声で教習
を続けているようで、教壇の先生の声はガラ
ガラだった。

「まだ、よくわからないって方は、うちに戻
ってから教本見ながら、練習してみてくださ
い。それでは、そろそろ皆さんが、来週から
乗る船の振り分けをしたいと思います!」


 これから、生徒たちの各艇への振り分けが
始まるみたいだ。

 麻美がロープワークを教えていた女の子も
まだロープが一人で結べるようにまではなっ
ていなかった。
 でも、授業は艇の振り分けのほうに進んで
しまっていた。

「大丈夫よ。ヨットに振り分けられたら、ま
たヨットに行って、そこで結び方を教えてあ
げるね」

 麻美は、女の子が、まだ麻美のヨットに振
り分けられるかどうか、決まったわけではな
いのだが、もしうちの船に振り分けられたら
後はヨットのほうに行ってから、そこで続き
は教えてあげると勝手に約束していた。

 そう約束しながら、とても素直で可愛い女
の子だったので、彼女がうちのヨットに振り
分けられると良いなと麻美は願っていた。

第18回につづく


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