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観覧注意報

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第73回

 横浜港で花火見物をするときは、細心の注
意が必要だ。

 ラッコとマリオネットは、ベイブリッジを
くぐって、横浜港内に入った。
 横浜港内は、花火見物をしに来た船で大混
雑していた。

 隆たちのように、ヨットで見に来ている人
たちもいたが、一番多いのは、ボートで見に
来ている人たちだった。
 ほかにも、屋形船や観光船までもがたくさ
ん集まって来ていた。

「屋形船から見る花火も風流でいいな」

 ルリ子が言った。

「確かに。でも屋形船は天井がついているか
ら、真上に上がる花火は見えにくいんだよ」


「そうだよね、窓から見るしかないよね」

 ラッコの船体が揺れた。

 港内のあっちこっちをボートや観光船が走
り回っているので、その引き波の影響で、船
底が丸いヨットは、ぐらぐら揺れてしまって
いた。

「いつでも、アンカーを落とす準備は、でき
ているよ」

 麻美がコクピットの隆に向かって言った。

 麻美と佳代は、パイロットハウスで、アン
カーのスイッチを、いつでも押せるように用
意していた。

 隆は、どこか花火観覧するのに、最適な場
所がないか探しまわっていた。

「いい場所がないな」

 静かな海面を見つけて、ここなら良いかな


とラッコが停泊していると、突然すぐ側に停
泊していたボートがエンジンをかけて走り出
して、その度に、安定性の悪いヨットのラッ
コは、ぐらぐら揺られてしまっていた。

「麻美!アンカーを打つのはやめよう」

 隆は、パイロットハウスの麻美と佳代に向
かって叫んだ。

 この混みあっている海面で、アンカーを打
って、完全に停泊してしまうと、突然に動き

出したボートとかが近寄って来たときに、避
けられなくなってしまうからだ。
 停泊ができないので、ボートにぶつからな
いように、港内をあっちこっちフラフラしな
がらの花火観覧となった。

「隆、落ち着いて花火が見れなくなってしま
うね」

 麻美が、船内から料理を持ってきながら、
隆に言った。


「仕方ないよ。港が混んでいるんだから。皆
は気にせずに花火を見てていいから」

 隆は、麻美に答えた。

「うん、そうするつもり」

 麻美は、隆の頭をポンポンしながら笑顔で
答えていた。

 麻美の後から、ルリ子と佳代がテーブルを
持って、コクピットに出てきた。

 そのテーブルをコクピットに広げると、麻
美が、その上に持って来た料理を並べた。
 コクピットでは、花火を眺めながらの宴会
となった。

 隆も、ビールを片手に、もう一方の手では
舵を握りながら、宴会に参加していた。

第74回につづく


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