謎が解けた

日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。

「あら、ゆみちゃん」

 ゆみが、良明と一緒に、学校から帰ってく
ると、エントランスで岡島さんと会った。

「ずいぶん今日は、帰りが早いのね」
「今日は、人形劇だけ見て、終わりだったん
です」

 ゆみが、良明に代わって、岡島さんに返事
していた。

「ちょうど良かったわ。ゆみちゃんの家に、
日本から送ってきたお菓子持っていくところ
だったのよ」
「いつもありがとうございます」

 ゆみが、岡島さんの持ってきた大きな紙袋
を受け取ろうとしたら、

「重いから、おばさんが家まで持っていてあ
げるわ」

 岡島さんは、体の小さなゆみに代わって、


重たい紙袋を持って一緒に、エレベータに乗
って、ゆみの家まで届けてくれた。

「ほら、あんた、これを持って、ゆみちゃん
の家まで来なさい」

 岡島さんは、ゆみと一緒に帰ってきた良明
に大きな紙袋を持たせていた。

「今、お茶出しますから、おばさんも、上が
っていて下さい」

 ゆみが、岡島さんたちを自分の家の中に招
待した。良明も一緒に上がる。
 愛犬のメロディが、良明に向かって嬉しそ
うに、尻尾を振っている。

「メロディったら、良明君のこと好きになっ
たみたいね」

 ゆみが言った。

「良明は、小さい頃から動物だけは大好きな
子だったから」


 と、岡島さんが答えた。

「今日は、人形劇が来て学校の皆で見たんで
す」

 ゆみは、リビングで岡島さんとおしゃべり
していた。

「でも、良明君は、途中であきてしまったみ
たいで、この子で遊んでたの」

 ゆみは、人形劇の会場で、良明と一緒に観

劇したときのことを話していた。

「でも、明日までに、人形劇の感想文を書か
ないといけないのに」

 岡島さんとおしゃべりしているうちに、感
想文の話になって、それでは、これから良明
と一緒に、ここで感想文を書こうということ
になった。
 良明は、バッグからノートを出し、開いて
テーブルの上に広げた。
 ゆみも、自分のルーズリーフを持って来て


一緒にリビングで書き始める。
 ゆみは、自分の感想文も書きながら、良明
の感想も、英語で代筆してあげていた。
 二人が、感想文を書いていると、玄関のベ
ルが鳴った。

「誰だろ?」

 ゆみが玄関に出ると、立っていたのは、良
明の妹の由香ちゃんだった。

「こんにちは」

「こんにちは、ゆみちゃん。うちのお母さん
が来てる?」

 やって来たのは、良明の妹の由香だった。

 由香の後ろには、もう一人女の子が一緒に
来ていた。

「来てるわよ。どうぞ」

 ゆみが、二人を、うちの中に招き入れた。


 二人が、リビングに入ってくる。いつもは
帰ってくると、一人なので、今日は、人がい
っぱい来てくれて嬉しい、とゆみは思った。

「どうしたの?」

 岡島さんは、入ってきた娘二人に話しかけ
ている。

「家に帰ったら、お母さんがいないから、も
しかしたらここかな?って思ったの」

 二人の女の子は、お母さんの横のソファに
腰掛ける。

「お兄ちゃんも、ここにいたんだ」

 目の前のソファで、感想文を書いている良
明の姿を発見して言った。

「ここが、隆お兄さんのうちなんだ」

 由香と一緒に来た、もう一人の女の子は、
部屋の中を見回して言った。


「あんたは、ゆみちゃんと会うの初めてじゃ
ないの?」

 岡島さんは、その女の子に言った。

「うちの長女、良明のすぐ下の娘で、由香と
理香の姉の美香です」

 ゆみは、岡島さんの家の自分と同い年とい
う女の子の美香に、やっと出会えることがで
きた。

「こんにちは」

 ゆみが初めて会った美香に挨拶していると
きに、またベルが鳴った。

「ただいま」
「お兄ちゃん、帰ってくるの早くない?」
「そうか。もう6時過ぎているぞ」

 隆は、ゆみに言った。

 良明と二人で感想文を書いていて、気づ


かなかったが、時刻はもう6時をとっくに
過ぎていた。

「隆お兄さん、お帰りなさい」

 美香は、リビングのソファに腰掛けなが
ら、会社から戻った隆に挨拶した。

「隆さんは、会社にお弁当持っていくの」
「ああ」

 食べ終わったお弁当箱をキッチンの流し

に置きながら、隆は返事した。

「お弁当といえば、良明君ってどうしてお
弁当食べないの?」

 ゆみは、良明のお母さんに質問した。

「お弁当食べない?」
「だから、それはおまえとシャロルが色々
話しかけてるから食べれないだけだろう」

 良明のお母さんに代わって、隆がゆみに


答えたが、ゆみは隆の返答には納得できな
いでいた。

「ああ。良明、あんた、またお弁当、アメ
リカでも食べていないの?学校で」

 良明のお母さんは、良明を怒鳴った。

「また食べていない?」
「あ、そうなの。身内の話をしちゃってご
めんなさいね。この子、学校では恥ずかし
いのかわからないけど、お弁当を人前で食

べることできないのよ」

 良明のお母さんは、隆に白状した。

「そうなんですか?」
「ええ、日本の学校でもずっとお弁当を食
べられなくて困ってたのよ」
「へえ、俺には考えられないな。お腹空い
て午後の仕事できないよ」

 隆は、良明に苦笑してみせた。


 美香は、兄がテーブルで感想文を書いて
いるところを見た。ゆみが、その隣りに来
て、一緒に感想文の続きを書いている。

「お兄ちゃんは、今日学校で人形劇を見た
んですってよ」
「知ってる、あたしも見たもの」

 お母さんに言われて、美香は返事した。
小学校の全員が見た人形劇だから、美香も
同じものを見ていたらしい。

「あなたは書かなくてもいいの?」
「書く。でもあたしは、まだ英語がわから
ないからって、先生が絵で描いてもいいん
ですって」
「あたしもここで描こうかな」

 美香も、二人の横で人形劇の感想を絵で
描きはじめた。

「英語のわからないところは、ゆみちゃん
に教えてもらうといいわ」
「うん。だけど絵だから、英語は関係ない


から大丈夫よ」

 良明のお母さんは、美香に言った。

「ゆみと3姉妹」につづく