隆お兄ちゃん

日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。

「ただいま」

 ゆみは、良明の家から帰ってきた。兄の隆
が玄関のドアを開けてくれた。家に帰ってき
たゆみに犬のメロディが飛びつき、大喜びで
出迎えてくれた。

「手を洗っておいで」

 隆に言われて、ゆみは洗面所で手を洗って
いる。洗い終わって、自分のタオルで手を拭
き終わると、リビングに戻ってきた。

「良明君の家は、とても楽しかったよ」
「それはよかった」

 隆は、大事な妹のゆみの楽しそうな笑顔を
みれて満足そうだった。

「由香ちゃん」

 ゆみは笑顔で隆につぶやいた。

「え、なんでおまえ・・」
「良明君のお母さんに聞いちゃった」


「おまえ、岡島さんといったい何の話をして
きているんだよ」
「由香ちゃんって可愛かったの?のり君のこ
と助けてあげたんでしょう」
「いいから、その話は」

 隆は赤くなっていた。

「良明の家で楽しかったのは良いけど、次か
らは、あんなバレッタ一個が壊れたぐらいで
あんな恥ずかしいことはするなよ」
「はーい」

 ゆみは隆に返事した。

「あたしも、バレッタはどうでも良かったん
だけど。ヒデキ君が行かなきゃだめって言う
から、良明君のお母さんに言うようにってい
うから」
「でも、それで最終的に行ったのはゆみなん
だろう。断ればいいのに」
「そうだね、ごめんなさい」
「うん、解ればいい」
「あと、あたしは良明君があたしと同じアパ
ートメントって聞いて、良明君のおうちに行


ってみたくもなったの」
「そうか、それは良かった。俺も、岡島さん
のところには、おまえのこともいつか連れて
いこうとは思っていた」
「うん」
「おまえのママのお友達だからな」
「お腹すいた~」

 洗面室で手を洗って戻ってきたゆみは、ダ
イニングの席について兄に言った。

「俺もお腹すいた。今日の夕食なんだ?」

「え!?お兄ちゃんが今夜は、作ってくれる
って言ったじゃない」
「ゆみのほうがお料理上手だろ」

 そう言って隆は、テーブルの席に座って新
聞に目を落とした。

「結局、あたしが作るんだ」

 ゆみは、キッチンで料理の支度をはじめた。

「由香ちゃん」につづく