真夏のビールパーティー
真夏のビールパーティー

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第75回

 横浜マリーナのクラブハウスは、落ち着い
た感じのインテリアに仕上げられている。
 シックなマリン風の家具をあっちこっちに
配置して高級感を出している。

 横浜マリーナの会員の中には、貿易商の社
長さんがいらしゃって、よくイタリアに出張

しては、イタリアの良い家具を仕入れてくる
のだが、売れ残ったりした家具をほぼ卸値で
クラブハウスに寄付してくれるのだ。

 その方が、売り物としては、商品にはなら
ないけど、非常に良いと気に入って、日本に
輸入された家具を、横浜マリーナに寄付して
くれるのだった。

 その家具が、クラブハウスの中央に置かれ
ている。
 その家具に合わせた形で、黒いグランドピ


アノが置かれていて、部屋の脇には、調理場
兼用のバーカウンターが設置されている。

 クラブハウスは、落ち着いた感じで高級感
が漂うように作られていた。

 大人だけでなく、子ども、ファミリー層に
も楽しめるように、隣りの部屋には、小さい
がキッズルームも備えられていた。

 そんな横浜マリーナのクラブハウスでは、
毎年夏になると、月に一度の割合で、会員た

ちの親交を目的にビールパーティーが開催さ
れる。

 クラブハウスのバーカウンターには、輸入
物の高級ウイスキーやワインなどが飾られて
いて、高級な感じに仕上げられているので、
そこのクラブハウスで開催されるビールパー
ティーといえば、さぞかしシックなビールパ
ーティーを想像されることだろう。

「いつもの焼きそばを作ろう!」


 室内にある家具とは、およそ似つかわしく
ないサビだらけのバーベキューセットが、バ
ルコニーに持ちだされて、その上で、キャベ
ツと麺が焼かれて、焼きそばが作られる。

 焼きそばの後は、広島出身の会員と大阪出
身の会員によるお好み焼きの食べくらべ合戦
が始まる。

 これが、横浜マリーナ、夏のビールパーテ
ィーの定番料理だ。

「今度のビールパーティーは、もう少しシッ
クに、大人の雰囲気で、高級にやろうよ」

 いつも企画の段階では、会員皆、そんなこ
とを話しているのだが、実際にビールパーテ
ィーが始まると、結局、いつも焼きそばやお
好み焼きに、安い発泡酒などで庶民的なビー
ルパーティーになってしまうのだった。

 ビールパーティーの幹事は、会員持ち回り
で、船ごとに順番に担当していた。


 今度の8月終わりに開催されるビールパー
ティーの担当は隆だった。
 ということは、隆たちラッコのメンバーた
ちが幹事をすることになるのだった。

第76回につづく