スタジアムデート

日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。

 うわー!

 ゆみたちが、スイーツの売店で、デザート
を選んでいると、スタジアムからものすごい
大歓声が、沸き上がっていた。

「なんかホームランとか打ったのかな?」

 良明が、歓声に驚いた様子だったのを見て
ゆみは言った。その大歓声に、店の中にいた
お客さんも皆、スタジアムの方に急いで戻っ
ていった。

 今まで、混んでいた店内が空いて、ゆみた
ちは、デザートを選びやすくなった。
 ゆみの大好きな美味しそうなストロベリー
のパフェもあった。

「あたし、これにしよう!」
「あたしもこれにする!」

 ストロベリーが大好きなゆみとシャロルは
それに決めた。良明は、ゆみの側で、いろい
ろなスイーツを眺めているだけだった。


「良明君は、どれにする?」

 ゆみが聞いたが、良明は、スイーツを、あ
っちこっち眺めているだけで、ちっとも選ぼ
うとしない。

「じゃ、あたしと同じのにする?」

 ゆみが、仕方なく良明に提案すると、良明
は、黙って頷いた。ゆみは、ストロベリーの
パフェを三つ持って、それに、兄のベーグル
を取って、レジで店員さんに渡す。

「美味しそうだね♪」

 ゆみは、良明と手をつないで、シャロルと
一緒にスタジアムに戻っていった。

「はい。ベーグル」

 ゆみは、席に戻ると、兄の隆に買ってきた
ベーグルを渡した。

「ベーグルにしたんだ。美味しそうだな」


 隆は、ゆみから受け取ったベーグルを食べ
ながら言った。

「ゆみは、パフェにしたのか。良明もシャロ
ルもみな同じものなんだな」

 隆は、ゆみたち三人が同じものを食べてい
るのを眺めて、本当に仲が良いなと思ってい
た。まさか、良明が何も喋らないから同じも
のになったとは思っていないようだ。

「お兄ちゃん、スコアブックに何も書いてい

ないよ」

 ゆみは、買物に行っている間、兄に、自分
のスコアブックを預けておいたのだが、兄は
何も野球の試合の様子を記帳してくれていな
かった。せっかく、几帳面にきちんと全部記
帳していたのに、スコアブックの間が抜けて
しまっていた。

「さっきって、ホームラン打ったの?」

 ゆみが、お買物中に上がった大歓声のこと


を、兄に質問した。

「違う。もう少しで、ホームランになりそう
だったのが、ファインプレーで捕られた」
「そうなの、残念」

 結局、その日のゲームは、ヤンキースが負
けてしまった。ヤンキースタジアムのゲーム
なので、ヤンキースファンが多いため、皆残
念そうな表情をしていた。

「また、今度は、勝つゲーム見に来ようね」

「今度が勝つかどうかは、誰もわからないだ
ろう」

 隆は、ゆみに笑いながら言った。

「あたしは、どっちが勝っても、負けても、
どっちでもいい。それより良明君やシャロル
たち、お友だちと遊びに来れるのが楽しい」

 ゆみは、隆に言った。

「ああ、そうだね。また今度皆で、来よう」


 隆は、ゆみに返事した。

「少年野球」につづく


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