海の日の計画

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第34回

「今度の三連休はどこかに行こうか?」

 隆は、デーセイリングに出かけたラッコの
艇上で皆に言った。

 来週の週末は、月曜日が海の日のため、三
連休だった。
 せっかくの夏の三連休なので、隆はヨット

でどこかにクルージングに行きたいと思って
いたのだ。

 東京湾内の横浜からだと、対岸の千葉、房
総半島などが一泊ぐらいのクルージングには
うってつけの行き先だった。

「今度の8月、夏にも、伊豆七島にクルージ
ングに行くんですよね」

 洋子が隆に聞いた。


「ああ。お盆の夏休みには、一週間使っての
んびりと伊豆の島々を巡ってこよう。皆も、
それがロングクルージング初体験になると思
うから、そのためのクルージングのリハーサ
ルを兼ねて、来週の三連休は、対岸の千葉に
でも行って一泊してこようかと思ってたんだ
けど・・」

 隆が洋子に答えた。

「そんなこと急に決めても、皆だってそれぞ
れ予定があるでしょう」

 麻美が言った。麻美は、どうせ自分は隆に
付き合わさせられるだろうし、ほかの女の子
たちまで隆の行動に付き合いさせなくてもい
いだろうと思っていたのだ。

「あたしは、予定は特に無いから、千葉クル
ージングに行ってみたい」

 洋子が答えると、

「あたしも予定ないから、千葉に行きたい」


 佳代が同調して、結局、皆、来週の千葉ク
ルージングに参加することになった。

「皆、若い女の子ばかりだというのに、連休
にデートとかの予定はないの?」

 すぐ側で、ラッコの乗員たちの会話を聞い
ていたマリオネットの中野さんが、ラッコの
女性クルーたちのことをからかっていた。

「確かに。皆も、私も、誰も彼氏いないんで
すよ」

 洋子が苦笑いしながら中野さんに答えた。

「ラッコさんは、来週は千葉のどちらに行か
れますか?」

 中野さんは、隆に来週の予定を聞いた。

「千葉の保田あたりにでも行ってこようかな
と思っています」
「保田か、いいな。うちも保田行こうかな」
「それじゃ、ラッコとマリオネットで2艇一
緒にランデブーで行きましょうか」


 保田は、千葉、房総半島の内側、内房のち
ょうど真ん中あたりに位置している。
 千葉の東京湾側の海に面している自然豊か
な小さな田舎の漁師町だ。

 その町の角に小さな漁港がある。もともと
は、漁師さんたちの漁船ばかりが停泊してい
た港だったが、東京や横浜からレジャーでや
って来るヨットやボートのことも受け入れて
くれるようになり、都心のレジャーボートが
気軽に立ち寄れるクルージングスポットにい
つの間にかなっていた。

 来週の海の日の三連休は、ラッコとマリオ
ネットの2艇で千葉の保田まで行って、一泊
して帰ってこようということになった。

 保田は、隆にとってはクルーの頃からもう
何十回も行っていて、行き慣れているクルー
ジング先だった。

 つい最近でも、3月、春にラッコで保田ま
で行き、一泊して帰って来ていた。
 そのときは、クルーの生徒さんたちは、ま
だラッコに乗っていなくて、麻美とたった二


人だけの寂しいクルージングだった。

第35回につづく