前立腺は小さくなっているはず

ある日、突然どうやってもおしっこが出なくなった・・とてつもなく巨大なアレ- 前立腺肥大症 -との3ヶ月間にわたる大闘病記。

 次の日の朝、目が覚めた。

「ごはんです」

 朝ごはんを食べ終わって、朝のユリーフの
お薬を1錠飲んだ。そして、また意味のない
ことは、わかっているのだが、おしっこがし
たくなり、トイレに向かった。

「昨日は、勝手な妄想をしてしまったな」

 昨日は、もう次の診察日まであと1週間を

切っているということで、焦りからか、全く
医学的根拠も無い、おしっこが治ってきてい
るという勝手な妄想をしてしまった。

 きょうは週末、日曜日だ。

 きょうも会社はないし、おしっこが出れる
ようになるための訓練に、とことん付き合っ
てあげられる時間はいっぱいあるのだ。
 そう思って、また朝からトイレに駆け込み
座っていたのだった。


 しかし、相変わらず、おしっこは、身体の
中を通っているクダを通じて、勝手に、おし
っこ袋のなかにへと流れていっている。
 いったい、どのようになると、おしっこが
自力でも出れるようになる兆候なのかも、自
分ではさっぱりよくわからなかった。

「あれ、なんだかクダが外れそうな動きをし
ている・・わけがあるわけないじゃん」

 私は、今日は、さすがに昨日のような医学
的根拠も何もない変な妄想に走ることはさす

がになかった。

「さあ、いつまでもトイレに座っていても仕
方がない。トイレから出て、パソコンでブロ
グでも書こうか」

 私は、トイレを出て、パソコンの置いてあ
るデスクに移動し、パソコンを起動して、自
分のブログの更新をはじめた。

「あれ、なんだろう?」


 私は、ブログの更新をしていると、なんか
変な違和感を感じた。

「なんか、おしっこが漏れていないか」

 私は、おしっこがクダを通じて、おしっこ
袋の中に流れるのではなく、クダの脇を伝っ
て、クダの外側から少し漏れている気がした
のだった。
 急いで確認してみると、確かにクダの内側
ではなく、外側におしっこが出ていたのだ。

「また、自分の思い込みじゃないかな?」

 私は、また昨日の私のようなクダが身体の
中から外れてきているという勝手な思い込み
じゃないかと疑った。

 自分の尿道の出口のところを、自分の指で
触診して確かめてみる。
 確かに、私の尿道の出口のところは、わず
かではあるが濡れていたのだ。
 念には念を入れて、下着の内側も指で触っ
てみる。下着にも、おしっこが袋でなく漏れ


た時のものに違いない、濡れている個所を発
見した。
 これは、もう間違いなく、おしっこ袋でな
く、身体の外にちゃんと、おしっこが出たの
だろう。

「治ってきたんだ!!」

 私は、おしっこの漏れを発見して、興奮し
ていた。

「これは間違いない!ようやく、毎日飲んで

いたユリーフの効果が現れだしたんだ!!」

 そう思って、改めて自分の尿道の出口のと
ころを眺めてみる。そうすると、尿道の出口
のところに、わずかではあるが漏れたおしっ
この液体が出ているのを発見した。
 そのおしっこの辺りの尿道出口を確認する
と、尿道の中央部分をクダが通っているのだ
が、そのクダと尿道の壁面との間に、わずか
ではあるが、隙間があることに気づいた。
 それまでは、クダは、尿道にぴったしくっ
ついて中に通っていた。


 それが、今は尿道とクダの間に、少し隙間
が空いているのだ。

「これは、きっとこの隙間から、おしっこは
漏れて、出てきたのだろうな」

 私は、思った。

 おそらく、毎日ユリーフを飲んでいたおか
げで、前立腺で塞がれていた尿道が、少しず
つ開いてきて、それでクダとの間に、隙間が
出来たのだろう。

 私は、そう勝手に理解していた。

「これは、病院に行って、先生に診てもらっ
たほうが良いだろう」

 今日は日曜日だ。病院に行っても、先生も
お休みだろうから、明日の朝にでも、病院に
行ってみるか。

 たぶん、明日、病院に行って、先生に診せ
たら、先生も同じように言うだろう。


「確かにクダとの間に隙間が出来てきていま
すね。これは、クダを外しても、おしっこは
ちゃんと出るかもしれませんね」

 と言ってくれるに違いない。

 そうして、クダを外してくれて、おしっこ
がちゃんと出ましたね。これで回復ですと言
われるんだろうなと思っていた。
 そんなことを想像しているうちに、眠くな
ってきてしまい、昼寝をしてしまった。

 そして、昼寝から目が覚めると、すっかり
隙間のことは忘れてしまって、夜ごはんとユ
リーフの薬を1錠飲んだ。

 夜、寝る前になって、そういえば隙間が出
来たんだったと、明日の朝、病院に診せに行
く前に、もう一回確認してみようと、尿道の
出口のところをもう一度確認した。

 そのときには、朝漏れていた尿道出口付近
のおしっこも、すっかり乾いてしまっていて
これは、ぜったいに尿道とクダの間に隙間が


出来て、尿道が広くなっていると思っていた
隙間も、特に広く感じられず、尿道の壁面は
ぴったしクダとくっついてしまっていた。

「これじゃ、先生に診せても、隙間が出来て
広くなったとは思ってもらえないだろうな」

 と思うしかなくなっていた。

 これだったら、明日の朝わざわざ行かなく
ても、本来の診察日である今週の木曜日でも
いいかと思うしかないのであった。

 この週末は、なぜ、こんな医学的根拠も全
くないわけのわからない妄想をしてしまった
のだろうか。

 たぶん、前立腺が小さくなってくれて、ち
ゃんと尿道の通路が前立腺に塞がれないよう
にならないと、おしっこが永遠に自力で出せ
るようにならない。
 そのために、ユリーフの薬を飲んでいる。

 毎朝、毎晩、ユリーフを飲まなければ治ら
ないと思うからこそ、ちゃんと飲み続けてい


るというのに、それを飲み続けている効果が
なんでも良いから何か少しでも目に見えてわ
かれば良いのに、その効果の程が一切よくわ
からないから、それが焦りにつながって、治
っている気になれる変な妄想をしてしまって
いたのであろう。

「はじめての診察日」につづく