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夜の宴会

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第58回

 隆たちは、旅館での夕食を終えて、港に戻
ってきた。

 時間は、もう既に、夜遅くなっており、漁
港は真っ暗だった。
 漁港内に泊まっているヨットは、隆たちの
ラッコ以外に、マリオネットとあともう一隻
だけだった。

 さすがにボートで三宅島まで来るのは、き
ついらしく、パワーボートの入港は一隻も無
かった。

 マリオネット以外のもう一隻というのは、
静岡の浜松からお盆休みを利用して、やって
来た35フィートのヨットだった。

 家族5人と犬1匹で航海してきたらしい。

 中学と高校性になる息子さんたちが、しっ
かりお父さんのクルーの手になって、アンカ


ーを打ったり、もやいを取ったりと停泊の際
にも大活躍していた。

「ファミリーでのクルージングも、なんかア
ットホームでいいわね」

 麻美は、家族で力を合わせて、35フィー
トのヨットを操っているところを見て、雪に
話していた。

「いつかは、あんなヨットに乗りたいな」

 隆のほうは、乗っている家族ではなくて、
ヨットのほうを見て、羨ましそうに洋子と話
していた。

 静岡から来たそのヨットは、ラッコが造ら
れた造船所と同じ国のフィンランド製のバル
ティック35というバルティック造船所で建
造されたヨットだった。
 バルティックヨットといえば、世界じゅう
のヨットマンが憧れる高級セイリングクルー
ザーだ。
 ヨットの船体の材質から細部の艤装品まで


最高級の一流品を使用して造られているヨッ
トだった。

「いいよな。あのヨット」

 漁港に停泊しているラッコの船内に戻って
来て、船内のサロンで寛ろいでいるときも、
隆は、まだ良いヨットだ、良いヨットだと静
岡から来たバルティック35のことを話して
いた。

「そう?私、昼間にオーナーさんに中を見せ

てもらったけど、私はラッコの船のほうが好
きだったな」

 麻美は、隆に話していた。

 昼間、バルティック35の家族の方と立ち
話していたときに、船内に招待してもらって
佳代と一緒にヨットの中でお茶をご馳走にな
っていたのだった。

「中を見せてもらったの!?」


 隆は、その話を聞いて、麻美のことを羨ま
しそうにしていた。

「花火するの?」

 ルリ子が聞いた。

 クルージングに出たら、現地の港で、夜に
なったら花火でも上げて楽しもうと、横浜で
花火を買って、持ってきていたのだった。

「もう、お隣りさんも、寝てしまっているだ

ろうし、今夜は花火はやめにしましょう」

 麻美は、花火を中止にする代わりにと、冷
蔵庫からフルーツゼリーを出してきて、皆に
切り分けていた。

「うわ!美味しそう」

 麻美のフルーツゼリーを見て、ラッコの皆
から歓声があがった。

「いつ作ったの?」


「昼間。三宅島に来る途中の船内で作ったの
よ。隆と洋子ちゃんが大いびきをかいて昼寝
してたときにね」
「へえ、ぜんぜん気づかなかった」
「じゃ、私も寝ていたときに作ったんだ」

 洋子が言った。

「そうよ。洋子ちゃんも大いびきかいて寝て
いたかな」

 麻美が、ゼリーをお皿に盛りながら笑顔で

答えたので、それを聞いた洋子は、少し恥ず
かしそうな顔をしていた。

第59回につづく


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