夜の出航、再び

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第82回

 隆は、買い物から戻って来て、航海計器の
設定をしていた。

 麻美たちは、買い物してきた食材を棚に仕
舞いながら、夜食の準備もはじめていた。

 大島までの行程は、行きはまた、夜通し走
り続けるので、お腹が空かないようにと、麻

美は、おにぎりを握っているのだった。

「ね、隆は、先にウォッチする?それとも後
にする?どっちでも良いのなら、私が先に寝
たいんだけど」

 麻美が、隆に聞いた。

「いいよ」

 隆が答えたので、麻美は、後ろの部屋に行
って、ベッドの布団をセットして、出航した


ら、しっかり眠れるように準備をし始めた。

 いつも後ろの部屋で、麻美と一緒に寝てい
る佳代がやって来て、ベッドの準備を手伝っ
ていた。

「私、今日はなんとなく眠くて」
「そうなの、どうして?」
「昨日さ、仕事が忙しくて、会社で泊まり込
んでいるのよ。隆たちも、会社で泊まってい
るんだけど、隆なんかは、社長室の脇にある
ソファでガアガア寝ていたけど、私は、なん

かさ、会社のソファじゃよく眠れなくて」
「そうだよね。会社のソファとかじゃ、寝に
くいよね」

 麻美は、自分たちのベッドメイキングを終
えると、船首の部屋に行き、そこのベッドメ
イキングも始めた。

「隆!今回も、夏と同じグループでウォッチ
別れるのでいい?」
「ああ」


 隆は、一緒にクルージングに行くマリオネ
ットの艇長の中野さんが来ていて、一緒に航
海計器を確認しながら、おしゃべりをしてい
たので麻美には曖昧に返事していた。

「ルリちゃんも、皆が寝れるようにベッドメ
イキング手伝ってくれる」

 麻美も、いちおう聞いてはいたが、隆の返
事は待たずに、さっさと他のクルーたちと船
首のベッドメイキングを始めていた。

「よし、12時になったら、出航しようか」

 隆は、洋子や雪、それにマリオネットの中
野さんに告げた。

第83回につづく