三浦半島クルージングの旅

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第133回

 土曜日。

 今週末は、文化の日を挟んだ三連休の週末
だった。

 そして今日は、横浜マリーナのクルージン
グイベントの日だった。

 隆たちラッコのメンバーは、朝早くから横
浜マリーナに集まっていた。

 これから、横浜マリーナに保管しているそ
れぞれのヨット、ボートで一斉にクルージン
グに出かけるのだ。

 横浜マリーナに保管しているボート、ヨッ
トは、全部で100艇以上はある。
 その全てのオーナーの方が、イベントに参
加するというわけではないが、だいたい2、
30艇ぐらいは毎年参加している。


 それらが、皆で並んでクルージング先の港
を目指して走って行く姿は圧巻だ。

「三浦半島に行くんでしょう」
「ああ、今回のクルージングは、三浦半島の
先端の三崎港に行くらしいよ」

 隆は、ルリ子に聞かれて答えた。

 去年の横浜マリーナのクルージングイベン
トは、東京湾の内側奥のほうにある千葉県の
木更津港に行った。

 その年は、木更津にあるマリーナのヨット
マンたちにに招待されて、皆で出かけて行っ
たのだった。

 現地では、木更津の地元のヨット、ボート
と一緒にセイリングして、夜は、木更津マリ
ーナのクラブハウスで盛大なパーティーを開
いてもらって、もてなしてもらっていた。

 去年の横浜マリーナのクルージング教室、
ヨット教室は、木更津マリーナのクラブハウ
スを拝借して、そこで卒業式を開いた。


 去年は、ラッコはまだ進水した頃で、隆と
麻美しか乗員はいなく、ラッコからの卒業生
は1人もいなかった。
 なので、ラッコにとっても、今年が初めて
のクルージング教室での卒業生を送り出すと
いうことになるのだった。

 去年が、東京湾の奥だったので、今年は、
東京湾の入り口、三浦半島の先端に行こうと
いうことになったのだ。

 隆たちは、ラッコのセイルを出航できるよ

うに準備していた。

「隆!買い物に行ってくるね」

 ヨットの上で出航準備していた隆たちに、
船の下から麻美が声をかけた。

「うん。行ってらしゃい!」

 麻美とルリ子は、クルージング中の食事の
買い物に出かけて行った。


 横浜マリーナには、すぐ隣りにショッピン
グスクエアがあって、その中に朝早くから夜
遅くまでやっている大型スーパーが入ってい
るので、クルージングに行くときなどの食材
の調達には便利だ。

「準備できたね」
「うん。ルリちゃんたち、遅いね」

 出航準備の終わった隆たちは、キャビンで
休憩していた。

「先に、ヨットをクレーンで下ろしておいて
もらおうか」

 ルリ子と麻美が買い物から帰って来るのが
遅いので、隆たちは、横浜マリーナのスタッ
フに、先にクレーンで船を海に下ろしてもら
っていた。

「ごめん、ごめん。遅くなって」
「ただいま」

 船を海に浮かべ終わったすぐ直後に、大き


なスーパーの袋を持った麻美とルリ子が戻っ
て来た。

「どうぞ。オーナー様、準備出来ていますの
で、お乗り下さい」

 隆は、遅れて戻って来た麻美にふざけて、
手を差し出しながら、麻美がヨットに乗るの
を手伝っていた。

「え?買い物してたら遅くなってしまって」
「全部、出航の準備を終わらせて、麻美さま

のお乗りに来られるのをお待ちしてました」

 隆が冗談っぽく言った。

「うん、ごくろう。なんだか私がオーナー気
分だわ」

 麻美も、冗談っぽく返事してみせた。

「でも、麻美ちゃんは、そのうち隆さんと結
婚したら、本当にオーナーになるじゃない」


 佳代が言うと、

「さあ、どうかしらね?私って隆と結婚する
のかしら?」

 麻美が、首を傾げていた。

第134回につづく