横浜マリーナ主催クルージング

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第132回

 10月、今年度の横浜マリーナのクラブレ
ースは、すべて終了した。

 クラブレースが終わると、横浜マリーナの
今年のイベントは、あとひとつを残して、す
べて終了となる。

 毎年、最後に行われるイベントは、文化の

日に開催されている。
 その日の休日を利用して、横浜マリーナに
保管しているヨットやボートの船が、皆でど
こかに一泊でクルージングに行くというもの
だった。

 行ったクルージング先の観光をして、夜は
旅館で宴会をして、クラブ員同士が交流、親
交を深めようという企画だった。

 このクルージングが終わると、季節も寒く
なってきて、だいたいのヨット、ボートが店


じまい、横浜マリーナの今年のマリンシーズ
ンは、終わりのような感じになっていた。

 といっても、

 横浜マリーナ自体は、年中無休で営業して
いるので、冬、真冬でも、毎週のようにヨッ
トに乗りに来るタフというか、物好きなヨッ
トマンも多かった。

「来週のクルージングは、皆の卒業式だよ」

 隆は、ラッコのキャビンの中でクルーの皆
に言った。

 横浜マリーナのクルージングイベントには
クルージング以外に、もうひとつの目的があ
った。

 それは、洋子たちヨット教室の生徒たちに
関連したものだった。

 4月から開講して、半年間ずっとヨットに
乗って来たヨット教室の生徒たちの閉講式、


つまり横浜マリーナのクルージングヨット教
室の卒業式が行われるのだった。

「まあ、優秀だった生徒しか卒業できないん
だけどね」

 隆は、説明の後に、冗談で付け加えた。

「私は?ちゃんと卒業できる?」

 洋子が、隆に聞いた。

「もちろんできるわよ。洋子ちゃんは、優秀
だもの!うちのラッコの生徒の子は皆、優秀
だから全員卒業よね」

 隆よりも先に、麻美が洋子の頭を撫でなが
ら皆に答えた。

「私、卒業したくないな」

 佳代が言った。

「どうして?」


「だって、卒業したら、ラッコに乗れなくな
ちゃうでしょう」

 佳代が言うと、皆も頷いた。

「私も!ラッコに乗り続けたいから卒業しな
いで留年したい。留年ってないのかな」

 ルリ子も言った。

 それに皆も強く頷いていた。

「いや、卒業したってラッコに乗れなくなる
わけじゃないよ。卒業したら、ヨット教室の
生徒は卒業するかもしれないけど、今度はラ
ッコの正式なクルーとして乗れるんだから、
そっちのほうがいいだろ?」

 隆が答えて、皆は安心していた。

第133回につづく