ずれていく食事時間

ある日、突然どうやってもおしっこが出なくなった・・とてつもなく巨大なアレ- 前立腺肥大症 -との3ヶ月間にわたる大闘病記。

 次の日の朝、目が覚めた。また時刻は8時
を少し過ぎていた。

「ごはんです」

 8時過ぎになると、身体が朝ごはんを食べ
る時間だと理解しているようだった。
 いい感じだ。入院をきっかけに、規則正し
い食事時間を守れるようになれそうだった。

 そんなわけで、退院から2日目。本日も、
病院が定めた規則正しい時間に、食事ができ

そうだ。

「食後は、ユリーフを飲まなくては」

 朝ごはんを食べ終わると、私はコップに水
道水を汲んで、ユリーフのお薬を1錠出して
飲んだ。

 退院の日の朝、病院で説明してくれた薬剤
師のお兄さんは、ユリーフは水で飲まなくて
も、そのまま口の中で舐めていれば、自然に
溶けて、身体の中に入っていくと、言ってい


たことを思い出した。
 しかし、私は、水で流し込んだほうが、早
く身体の下のほう、膀胱とかがある前立腺の
すぐ側までいってくれるような気がして、お
水で流し込んでいた。

 ユリーフを飲んだ後、パソコンで自分のブ
ログに新しい記事を書き込んだりしていた。
 ブログに記事を書き込んでいると、こんな
ことも書かなきゃ、こういう風に書いたほう
が読んでいる人に伝わりやすいといろいろ考
えてしまう。

「え、もうこんな時間か」

 記事を書くのに集中していたせいか、一つ
の記事を書き終わったとき、気づいたら既に
時間は12時半をとっくに過ぎて、1時過ぎ
になっていた。

「いけないっ!お昼の時間がとっくに過ぎて
しまっている!」

 私は、急いでノートパソコンを閉じると、
お昼の食事を用意して、食事にした。


 結局、食事の用意をしてから食べ始めたの
で、お昼ごはんの時間は、1時半過ぎになっ
てしまった。
 本来のお昼ごはんの時間からは1時間もず
れてしまっていた。

「まあ、仕方ないか。病院で入院しているわ
けではないから、普通に生活していれば、い
ろいろあるのだ。1時間ぐらいずれてしまう
ことだってあるだろう」

 私は、自分で自分に言い聞かせていた。

 唯一の救いだったのは、ユリーフの服用は
朝と晩の食後だけなので、お昼ごはんの後に
は、薬を飲む必要がないことだった。

 そして午後、お昼ごはんを食べ終えると、
再びノートパソコンを立ち上げて、パソコン
でブログをやったり、夕方までいろいろ作業
をして過ごした。

「そろそろ夕食の時間かな」

 私は、時間が6時を過ぎるころ、今度は、


夜ごはんの時間を忘れずに気づくことができ
た。今から夕食を作り始めれば、ちょうど6
時半ごろには、夜ごはんを食べることができ
るだろう。

「夕食を作らなきゃ」

 心では、そう思うのだけれども、身体は立
ち上がって、夕食を作りにキッチンに行こう
とはしなかった。
 決して、夜ごはんを作るのが面倒で立ち上
がらないわけではなかった。

 今から夕食を作り始めて、夜の6時半から
夜ごはんを食べる気にはどうしてもなれなか
ったのだ。
 別に、前立腺肥大症という病気のせいで、
食欲がわかないとか、そういうわけでは決し
てなかった。
 原因は、お昼ごはんの時間が少し遅くなっ
てしまったせいだ。そのせいで、ちっともお
腹が空かないのだった。

「あともう少し、せめて1時間ぐらい経って
から、お腹を空かせてから、夜ごはんを食べ


たいな」

 結局、その日の夜ごはんは、6時半の予定
を大幅に過ぎた夜の8時ごろになってしまっ
ていた。

「ごちそうさま」

 夜の8時半を過ぎたころに、夜ごはんを食
べ終わって、その後に、夜のユリーフの薬、
1錠を水で飲んだ。
 夜ごはんの時間がずれてしまったので、薬

の時間まで大きくずれてしまった。

「まあ、仕方ないか」

 私はつぶやいた。こんな日だってあるだろ
う。しかし、せっかく病院で入院したおかげ
で、バランスの良い食事を、規則正しい時間
に摂ることの大切さを思い知らされたのだ。
 明日からは、もっと気を引き締めて、決め
られた時間には、ちゃんと食事をとって、食
後のお薬も決まった時間にとれるようにしよ
うと、自分のことを戒めたのであった。


 その甲斐があって、次の日の月曜日は、し
っかり病院での時間と同じ時間に食事をとる
ことができた。

 次の日は月曜日だった。しかし、9月のシ
ルバーウィークの、後半の週末で、三連休の
最終日だった。祭日というおかげもあって、
病院と同じ時間に食事をとることができたの
であった。

 その後の火曜日からは会社だった。うちの
会社のお昼休みは、一般の会社のお昼休みと

違って、12時~1時から少しずれて、午後
の1時~2時がお昼休みだった。
 もう既に、そこの時間からして、病院と同
じお昼の12時半に、お昼ごはんを食べるな
んてことは不可能だった。
 朝だって、出かけるとなれば、8時過ぎま
でゆっくりして、8時半に朝ごはんを食べる
なんてこと、やっていられない。
 夜ごはんは、夜ごはんで6時半までには帰
宅して、食事を準備をやり終えて、あとは食
べるだけなんてこと毎日はできなかった。


 そして、規則正しい時間の食事というのは
退院から日がどんどん過ぎていくに従って、
どんどんずれていってしまうのだった。

「トイレでおしっこする」につづく