佳代
佳代

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第25回

 佳代は、小柄で、髪が顎のラインまで伸び
たボブヘアーの可愛らしい女性だった。

 佳代は23才。

 ラッコの船の乗員の中では一番若かった。
目が大きくクルクルとしていて、可愛らしい
子だった。

 背の小さいところが、余計に可愛らしさを
引き立たせていた。雪や麻美と並ぶと身長差
があって凸凹コンビだった。

 ほかの乗員が皆、自分よりも年上というこ
ともあってか、最初のうち、佳代はあまり口
数も少なくとてもおとなしかった。
 初めからおしゃべりだったルリ子とは対照
的だった。

 おとなしくて、小柄でヨットでセイルを上
げるときなども、ブームの上のセイルに手が


届かないときもあって、隆は彼女がヨットを
やっていけるかなって心配していたが、何回
かヨットに乗っていて、皆とも慣れてくると
佳代の口数も多くなってきた。

 普段、キャビンの中で食事をしているとき
などは、佳代は最初のイメージ通り、おとな
しい子だったが、セイリング中は、小柄の体
型を活かしてけっこう動きも素早く、前のデ
ッキ上でセイルが絡まっていたりすると、誰
よりも素早く前のデッキに飛んでいき、絡ま
ったセイルを直したりしていた。

 隆が、先に絡まったセイルを見つけて、直
しに行こうと揺れるデッキ上を落ちないよう
に捕まりながら移動していたときも、佳代は
ピョンピョンと身軽にとび跳ねながら前のデ
ッキに移動していたりする。

「佳代ちゃん、身軽だね」

 麻美が前デッキから戻って来た佳代を誉め
ると、佳代は、誉められたことを嬉しそうに
しながら笑顔で頷いて、麻美の横に腰かけた
りしている。


「それに対して、隆は腰が重いね。動きも腰
の重いおじさんそのものだよ」
「悪かったな、おじさんで」

 麻美は、いつも麻美が話しかけると、ニコ
ニコして笑顔が可愛い佳代のことを妹のよう
に可愛がっていた。

 自分と同い年の雪とも仲が良かったのだが
雪とは友達という感じの仲の良さで、それと
は、また違った感じの、妹のような佳代とも
仲が良くなっていた。

 ちょうど、隆と洋子がヨットでのお昼ごは
んでいつも一緒に並んで食べているように、
麻美と佳代は、お昼のときいつも一緒に隣の
席で食事するようになっていた。

第26回につづく