雪

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第24回

 雪と麻美は、同い年の30代だった。

 同い年ということもあって、麻美とは話も
あい、仲良くなっていた。

 雪は、30代で、見た目もショートヘアー
でほかの生徒よりも大人の女性という感じで
かっこ良かった。

 背丈も長身でスタイルも良い。性格はさば
さばしていて男っぽい感じの女性だった。

 麻美も、さばさばしていて男っぽい性格だ
が、雪のほうが、それにさらに輪をかけて男
っぽいような気がしていた。

 普段から化粧もほとんどしていない。

 麻美もあまり化粧はせずに、ナチュラルメ
イクだったが、雪の場合は化粧水程度でまっ
たくと言っていいほどしていない。


 会社にも化粧は全くせずに通っていた。

 子どもの頃は、父親の仕事で、東南アジア
で暮らしていたことがあるそうだ。

 そのためなのかは定かではないが、生まれ
てから30代の今まで一度もスカートを着た
ことがないそうだ。
 いつもパンツばかりで背も高くスタイルが
良いので、余計になんとなく男っぽくかっこ
良い印象の女性に見えるのだろう。
 麻美も、雪よりは少し低いが、女性として

はかなり背の高い方だ。
 横浜マリーナ内を二人が並んで歩いている
と、けっこう目立っていた。

 隆と麻美は、2つ違いで麻美のほうが年上
だった。麻美と同い年の雪とも、2つ違うお
姉さんだった。

 ほかの生徒たちは、自分よりも年下なので
ヨットの操船を教えるときも割と気軽に教え
ていたが、雪に教えるときは、年上なので少
し緊張して、たまに敬語なども使ったりしな


がら教えていた。

 そんな隆に、人の良い雪は、よく自分が年
上だということはぜんぜん気にしないで、ヨ
ットの先輩としてほかの生徒たちと同じよう
に気軽に教えてくださいと言ってくれた。

 そうは言われても、隆は、最初のうちは雪
さんとさん付けだったりしていたが、次第に
雪と呼びつけでほかの生徒たちと同じように
扱うようになっていた。
 雪も、そのほうが隆に気を使ってもらって

いない感じでフランクに接してもらえている
気がして、気がすごく楽だった。

「雪!おまえは、まだもやい結びもできてい
ないのか!?」

 ヨットを岸壁に接岸したときに、岸壁のク
リートにロープで結ぶのに、雪がもやい結び
をうまく出来ずに、グズグズしていると、船
の船尾のコクピットでステアリングを握って
いる隆は、よく雪のことを怒鳴っていた。


 隆は、あまりにもフランクになり過ぎて、
それを麻美に突っ込まれて、逆に麻美に怒鳴
られ叱られてしまっているときもあるぐらい
にまでなっていた。

第25回につづく