城が島観光

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第143回

 隆たちは、次の日の朝早くに起きていた。

 今日は、これから三崎から横浜マリーナに
戻らなければならないので、朝ごはんを食べ
終わったらすぐに、朝から三崎港を出航しな
ければならない。

 その前に、お散歩を兼ねて、城が島を観光

してくるつもりなのだった。

 日の出と同時に起きて、散歩に出かける準
備をしていた。

「まだ眠いね」
「私は、ぜんぜん大丈夫!」

 洋子は、ジャージー姿で屈伸をして元気い
っぱいに答えていた。

 横浜マリーナのハーバースタッフに、杉原


君という若者がいた。
 彼は、生まれも、育ちも、三浦半島の三崎
市出身だった。

 大学時代の4年間、地元・三崎のマリーナ
三崎マリンでアルバイトをしていた。
 卒業後、その経験を活かして、横浜マリー
ナに就職したのだった。

 三崎マリンでアルバイトしていた頃は、台
車でヨットやボートを引っ張ったりと肉体労
働が中心だったが、横浜マリーナに就職して

からは、クラブハウス内の事務所で事務の仕
事に徹していた。

 それでも、土日で現場作業が忙しくなった
ときは、現場作業もできるのでよく手伝って
いた。

 その彼が、今回の横浜マリーナのクルージ
ングイベントの担当スタッフの一人に選ばれ
ていた。

「三崎ならば、地元でよく知っているから観


光案内しますよ」

 杉原君は、イベント当日前から、三崎クル
ージングのイベント担当スタッフに選ばれて
張り切っていた。

 ラッコは、横浜マリーナから三崎に来ると
き、のんびり、ゆっくりとセイリングしてき
たので、三崎に到着するのが遅くなってしま
ったが、暁などの足の速いヨットやパワーボ
ートは、午後の早い時間には、三崎に到着し
てしまっていた。

 三崎に先に早く到着した船の人たちを連れ
て、杉原君が、横浜マリーナ・城が島観光ツ
アーを開催していた。

 皆を連れて、三崎口から城ケ島大橋を渡っ
て、島内に入って、島の中を巡った。

 さすがに、三崎で生まれ育った杉原君だけ
に、一般の人が知らない海の景色がよく見え
るスポットやカニが獲れる穴場の岩場などい
ろいろな城が島の面白スポットを案内してく
れたらしかった。


 夜のパーティーのときに、麻美は、その話
を杉原君から聞いて、いっしょに行きたかっ
たなって思っていたのだ。

 その話を、ラッコに戻って来て、隆たちに
話すと、それでは明日早起きして、出航前に
城が島に行ってこようということになったの
だった。

 三崎の漁港前から城ケ島までバスが走って
いるのだが、さすがに隆たちが出かけたとき
は、朝早すぎて、まだバスが無かった。

「散歩なんだし、のんびり歩いて行こう」

 隆たちは、皆でぶらぶらと城ケ島大橋を歩
いて渡っていた。

第144回につづく