エスニック料理

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第108回

 ラッコが停泊すると、早速レストランの店
内、中からウェイターが出てきた。

 ウェイターに予約していたことを伝えると
ウェイターは店内に案内してくれた。

「ここで食べたいね」

 ルリ子が、ウッドデッキのテーブルを指さ
しながら言った。

「どうせなら、食事をラッコのデッキまで運
んできてもらえればいいのに」
「それじゃ、レストランに食べに来た意味な
いじゃない」

 隆の言ったヨットのデッキ上で食事する案
は、麻美に即座に否定されてしまった。

 タイクーンの店内は、アジア風の植物が陳


列されていて、店内全体がエスニック調にデ
ィスプレイされていた。

 クラシックピアノが置いてあり、店内全体
に聴こえるようにピアニストが静かなクラシ
ックを弾いていた。

 店内は、けっこうお客が満員で、お客さん
たちの会話で賑わっていた。
 せっかくのピアノの生演奏がよく聞こえな
いぐらいだった。

「あの上のところでライブとかやるのか?」

 螺旋階段を上がったところに、中2階があ
って、そこから1階の店内が見渡せるように
なっている。
 下からは、中2階を見上げる感じで、2階
の様子を見ることができた。
 2階には、ステージがあって、夜とかだと
そこでライブが開催されるようだ。

「もう少し、おしゃれな格好してきたほうが
良かったかな」


 席に座ると、テーブルの上には、三角に立
ったナプキンが置いてあり、高級レストラン
の雰囲気があった。

「おしゃれな格好してきたら、ヨットで作業
できないじゃん」
「いいじゃない。隆に全部一人で操船しても
らえば」

 麻美が、笑顔で言った。

「俺は、ヨットの運転手かよ」

 隆は、苦笑していた。

 ラッコのメンバーたちが、テーブルで談笑
していると、料理が運ばれてきた。

 タイクーンの料理は、高級なエスニック料
理が中心で、香辛料の効いたわりと辛い味の
料理が多かった。

「隆は、辛いの苦手だから、食べれるものが
なくなちゃうね」


 麻美は、自分の料理の中から比較的辛くな
いものを何点かより分けて、隆のお皿に分け
てあげた。

「別に、多少ぐらいなら、味が辛くても大丈
夫だよ」

 隆は、言った。

第109回につづく