メロディのおみやげ

日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。

 スポーツ用品店を出て、ゆみは言った。

「あっちのペットショップにも行きたい」

 ゆみは、隆を誘って向かいのペットショッ
プに行った。ペットショップに入ると、隆は
ケージに入れられた犬や猫たちを眺めて、撫
でてあげたりしている。
 ゆみも、いつもならば兄と一緒に犬を触る
のだが、今日は、まっすぐにボーン売り場に
行って大きなボーンを選んだ。

「お兄ちゃん、このボーン買ってもいい?」
「いいけど・・」

 ゆみは、大きなボーンをレジに持っていて
購入してきた。

「だって、あたしたちがラケット買ったら、
メロディが可哀想だもの」

 そう言って、その大きなボーンを大事に腕
の中に抱え込んだ。


 ショッピングセンターからの帰り道に車は
自宅近くの、近所の公園の前を通った。

「公園でテニスしてから帰らない?」

 ゆみは、運転している隆に提案した。

「もう暗くなってきているから、テニスは、
また今度にしよう」

 隆は、ゆみに言った。ゆみがつまらなそう
にしていたので、隆は付け加えた。

「楽しみは、取っておいたほうが、そのとき
にもっと楽しめるから」
「そうだよね。もう公園の中、真っ暗」

 ゆみは、車の窓から公園のほうを眺めなが
ら、隆に返事した。

「それに、お腹が空いてきたから、早く帰り
たいしな」

 今日は、日曜日だから、また明日から、ゆ
みは学校がある。


 もちろん、隆も明日からは、金曜日まで会
社に働きにいかなければならない。
 ということは、買ったばかりのラケットで
テニスをするのは、今度の土曜までお預けに
なってしまいそうだった。

 その日の夜、テレビを見ていた隆の横で、
ずっと買ってもらったばかりのテニスのラケ
ットを抱きしめていたゆみだった。

「もうそろそろ遅いから寝なさい」

 隆に言われて、パジャマに着替えてベッド
に入ったときも、ゆみの枕元には、ずっとラ
ケットが一緒に置かれていた。
 ゆみが、その日の夜にずっとラケットを手
放さなかったように、もう1人、メロディも
もらったばかりの大きなボーンをずっと口に
くわえていた。

 夜、寝るときメロディは、いつもゆみのベ
ッドに上がって一緒に寝ているのだが、その
日のメロディは、ボーンもくわえて一緒にベ
ッドの上に上がって寝ていた。


「なんか、ゆみも、メロディも、二人ともよ
く似ているな」

 そんな寝ている二人を眺めながら、隆は思
っていた。

「お弁当の謎」につづく