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お帰りなさい

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第11回

 麻美は、2年間のアメリカ留学を終えて、
日本に帰国した。

 専門学校での勉強を終えて、戻って来たの
だ。もう大人なのだからと、両親は空港まで
出迎えにも来てくれなかったので、代わりに
隆が迎えに行った。

 大きな荷物を麻美から受け取り、隆は自分
の車のトランクに積む。

 帰国した麻美に隆は今、どうしているのか
と聞かれて、自分の会社を起業して、そこで
働いていると、自分が発案、制作したサイト
が成功したことから順番に麻美に伝えた。

 麻美も手紙、メールでは、聞いていたが、
本当に隆が会社を起こして成功するとはと驚
いていた。


 今度は、逆に隆が麻美にこれからどうする
のかを聞いてみた。

 麻美は、具体的にはまだどこで働くか決め
ていなかった。このまま決まらないと、父に
家の貿易会社で働かせられるとかで、それだ
けは避けたいとかで、どこか就職先を探すの
だそうだ。

「俺の会社で働かないか?」

 隆は、唐突に麻美を自分の会社に誘った。

 麻美は、最初はそんなに気を使わなくても
いいよと遠慮していたが、忙しくて本当に人
手が足りないということを知ると、隆の会社
で働くことに決めた。

 勤務初日、麻美は会社に行くと、どうせ事
務の仕事かなにかだと思って普通にOLらし
くブラウスにスカートの服装で出社した。

 会社で今日から勤務なのだがどこですか?

 と自分の名前を伝えて受付の女性に聞いた


のだが、どの社員もどこの配属だかよくわか
らないようだった。
 麻美は、途方にくれて適当な椅子を見つけ
て1時間ぐらいそこに座っていた。

 1時間ぐらいすると、どこからともなく隆
が迎えにやって来た。
 麻美は隆について行くと、そこは隆の社長
室だった。麻美の配属は秘書室で、仕事の内
容は隆の社長秘書に決まった。

「どうして私なの?私は秘書なんて一度もし

たことないよ」
「麻美ならば、学生のころから俺のことをず
っと知っていて、仕事のサポートや助言を誰
よりも的確にしてもらえると思ったからさ」

 確かに、麻美はいつも遠慮なく、思ったこ
とをなんでも隆には言っていた。

「まあね、私なら隆のことは、なんでもわか
っているけど、隆の秘書というよりも、隆の
ことを顎で使ってしまいそうなんだけど」
「それでも良いさ」


 でも、本当に私に隆の秘書なんて出来るの
だろうか。

「それでは社長、本日のご予定は?」

 麻美は隆に聞いた。

「ええっと、ご予定は・・」
「社長、K会社への訪問ですね」
「うむ」
「社長、午後はそのまま新宿の方に・・」
「なんか調子狂うよ、麻美に社長とか呼ばれ

るのは」
「私も」

 麻美は隆に言った。

「社長はやめて、今まで通り隆って呼ぶね。
だって私にとっては、社長でなく、どう見て
も隆は隆だからね」
「うん。その方が落ち着く」

 結局、案の定、麻美は隆の秘書というより
も管理しているような、お目付け役のような


秘書になってしまっていた。

第13回につづく


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