お弁当の謎

日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。

 土日の次の月曜日の朝は、起きるのがなか
なかつらい。隆も、少しだけ寝坊してしまっ
たが、頑張って起きて会社に出かけた。
 ゆみは、隆のことを会社に送り出してから
自分も学校へ行く準備をして、家を出た。

 エレベータで、1階のロビー、エントラン
スに降りると、同じく学校へ行く良明とばっ
たり出会ってしまった。

「良明君、おはようございます」

 ゆみは挨拶した。

 良明もちょうど学校へ出かけるところみた
いだったが、エプロンをしたままのお母さん
と一緒だった。
 岡島さんは、折り畳んだ大きな段ボール箱
の束を持っていてごみ捨てに出てきたところ
みたいだった。

「おはよう、ゆみちゃん」

 岡島さんが言った。


「良明君のお母さん、おはようございます」
「いっしょに学校へ行こう」

 ゆみは、手を差し出して良明に言った。

「ちょうどよかったじゃない」

 岡島さんは、自分の息子に言って、二人が
学校へ行くのを見送った。

「そうだ。良明君、お弁当持った?」

 ゆみは思い出して、良明に聞いた。

「おばさん、良明君、いつもお弁当忘れちゃ
ってるみたいなんですけど、うちの学校って
お昼にお弁当持っていくんですよ」

 とゆみが、岡島さんに学校のお昼ごはんの
ことを説明した。

「お弁当?いつも良明持って、行ってるんだ
けど…」


 岡島さんは、そう言って良明のバッグの中
からお弁当箱を取り出して、ゆみに見せた。

「あ、本当だ!」
「いつもお弁当持ってきていなかったから」

 ゆみは、岡島さんの見せてくれた良明のお
弁当箱を見て安心した。

「え、いつも良明は、お弁当持っていってい
るんだけど・・」

 岡島さんは、ゆみの言葉に不思議そうにし
ていた。

「今日は、一緒にお弁当食べられるね」

 ゆみは、良明に言った。

「それじゃ、行ってきます」

 ゆみは、良明と手をつないで、学校へ出か
けていった。いつも一人で、学校へ行く道を
歩いているので、今日は、お友達と一緒に行


けて楽しくて、行く道は、ずっとおしゃべり
していた。
 といっても、話しているのは、ゆみばかり
で、良明はずっと黙っていたのだったが。

 ゆみが、良明と一緒に学校に登校すると、
学校の前でシャロルと出会った。

「おはよう」
「一緒に来たの?」
「うん。良明君とあたし同じアパートメント
に住んでるから」

「一緒に手をつないでると、ゆみちゃん、良
明と恋人同士みたいだよ」
「そうかな。どうしよう」

 ゆみは、良明のほうをチラッと見ながら笑
顔でシャロルに言われたことを通訳した。
 良明は、あわてて、ゆみとつないでいた手
を振り離した。

「照れているよ」

 それを見ていたシャロルが、大声で笑いな


がら言った。

「照れることないじゃん。あたしと良明君は
お友達同士なんだから」

 ゆみは良明に言った。

「今日ね、良明君も、お母さんにお弁当作っ
てもらったんだよ」

 ゆみは、シャロルに教えた。

「本当に、じゃ今日は、皆で一緒にお弁当食
べられるね」
「うん、そうだね」

それから、ゆみはシャロルに昨日、ヒデキた
ちと良明の家に遊びに行ったときのことをい
ろいろお話していた。

「そうなんだ、良明のお母さんと隆が仲良か
ったんだ。それじゃ、あたしたちも良明と仲
良くなれそうだね」


 シャロルは、ゆみに言って、ゆみもシャロ
ルの言葉に頷いた。

「ランチタイム」につづく