しかし、ある事情で進学を諦め、卒業後すぐに今の商社、ニューヨーク支店に就職した。
商社では、総務部に配属された。ずっとニューヨークで暮らしてきた経験から日本人がニューヨークで暮らしていくためのノウハウを知り尽くしていた。
その経験を活かして、総務部では、これから日本から赴任してくる社員やその家族の生活の面倒を総務としてみることを任されていた。
今日、ケネディ空港で待ち合わせしている岡島さんの一家も、日本からニューヨークに赴任してくる家族で、彼らが住む住居などの用意を隆が任されていたのだった。
隆は、ケネディ空港への道を車を飛ばしながら、妹のことを考えていた。
「あいつ、今朝は、今日のテスト自信がないって言ってたけど、学校で大丈夫だったかな?」