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全員そろった!

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第19回

「ただいま!」

 麻美は、ラッコに配属になった生徒たち全
員を連れて、ヨットに戻って来た。

 ヨットには、後片付けを終えて、船内のサ
ロンでくつろいでいた隆がいた。
 テーブルの上には、沸かしたばかりのコー

ヒーがポットに入っていた。

「あ、コーヒーを沸かしておいてくれたの。
じゃあ、皆で頂きましょうか」

 麻美は、生徒たちを皆、サロンのソファに
座らせて、カップをキッチン、ギャレーの戸
棚から取り出した。
 生徒たち四人は、隆の前のソファに腰かけ
た。ラッコの配属になった生徒たちは、四人
とも全員、女性ばかりだったのに、隆は驚い
ていた。


「うちの生徒さんは皆、女性ばかりで、男性
はいないんだね」
「そうみたいね。きれいな子ばかりで、隆は
嬉しいでしょう?」

 生徒を目の前にして、麻美に言われて、隆
は否定もできずにいた。

「こっちがオーナーの隆。私は麻美です」

 麻美は、生徒たちにコーヒーを入れながら
皆に自己紹介した。

「永田ルリ子です。さっき、麻美さんにロー
プの結び方を教えてもらえました。宜しくお
願いします」

 今度は、生徒たちのほうの自己紹介がそれ
ぞれに始まった。

「麻美に結び方を教えてもらったんだ。大丈
夫だったか?麻美は間違った結び方を教えな
かった?」

 隆が笑いながら、麻美に言った。


「大丈夫でしたよ。優しく教えてもらえたの
で、とてもわかりやすかったです」

 ルリ子は、隆に答えた。

「私は、雪といいます。生徒さんには、若い
方が多い中、30代ですが一生懸命頑張って
ヨットのことを覚えていきたいと思っていま
すので、よろしくお願いします」

四人の生徒の中で、一番長身だった女性が自
己紹介した。30代と言うので、年齢を聞く

と、麻美と同い年だった。
 雪は、長身で肩幅もがっしりとした体型の
女性なので、これからが頼もしそうだと隆は
思っていた。

「私は、洋子といいます。仕事は、電機メー
カーでOLをしています。運動はあんまり得
意なほうではないですが、ヨットには乗れる
ようになりたいと思っています」

 洋子は、ストレートの長い髪が胸の少し上
ぐらいのところまで伸びた細身の女性だ。


「私は、佳代です。」

 最後に残った小柄な女性が控えめに自己紹
介した。
 彼女は、恥ずかしがりやなのか皆に聞こえ
るか聞こえないぐらいの小さな声で自己紹介
していた。
 佳代は23才だった。ラッコの乗員全員の
中で一番の最年少ということになる。
 あまり話が得意でないらしくて、初対面の
皆にいろいろ質問をされ返事に困っていた。

「大丈夫よ。皆で仲良くヨットに乗って楽し
みましょうね」

 麻美は、佳代の横に自分が座っていた場所
を移動して、佳代のことを抱き寄せると優し
く言った。
 ルリ子と初めて会ったときに、ルリ子も可
愛い子だなって思ってたが、佳代も小柄で可
愛い子だなって思っていた。

 麻美が、佳代の側に座って、優しく話しか
けるのを見て、隆は、佳代は確かに麻美が好


きそうなタイプの女の子だなと思った。
 元来、世話好きでおせっかいな性格の麻美
は、学生だった頃から、おとなしめの子には
自分から積極的に声をかけていき、仲間にし
ていた。

第20回につづく


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