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会社からマリーナ通勤

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第80回

「お母さん、行ってきます!」

 洋子は、大きな荷物を抱えて、会社に出勤
するため、家を出た。

「あなた、三連休は、ずっとヨットに出かけ
ているの?」

 会社に遅刻しないように、急いで出かけよ
うとしている洋子に、母親が声をかけた。

「うん。今日の夜から、会社が終わったら、
そのままヨットに行ってしまうから。月曜日
までは、うちには戻ってこないから」

 洋子は、母親に連休の予定を説明した。

「それにしても、そんなに大きな荷物持って
会社に行っても大丈夫なの」


 ヨットに出かける着替えなどがいっぱい詰
まったボストンバッグを抱えて、洋子は会社
に出社した。

 会社に着くと、誰にも見つからないうちに
急いで自分のロッカーにバッグを締まった。

 特に、会社のほかの人に見つかったからと
いって、大きなバッグを持ってきたからって
叱られるなんてことはないだろうが、いちい
ち皆に説明するのが面倒に思ったのだった。

 洋子は、バッグをロッカーに仕舞うと、会
社の事務服に着替えて、仕事を始めた。

 今夜から三連休は、ずっと皆とヨットに乗
れるのだ。

 そう思うと、仕事中も、ついついヨットの
ことを考えてしまい、仕事が終わる時間が待
ち遠しかった。

 定時の終わりを告げるベルが鳴っても、い
つもだと多少は残って、仕事を片付けてから


帰る洋子だが、この日ばかりは、残業はしな
いですぐに横浜マリーナに向かった。

 洋子が、横浜マリーナに到着したのは、午
後7時を過ぎていた。
 会社が東京にあるので、定時にすぐ出ても
どうしても横浜への到着は、このぐらいの時
間になってしまうのだ。

「こんばんは!」

 マリーナの入り口で、先に来ていたルリ子

や麻美と出会った。

「洋子ちゃん、かわいい!きれいな足!」

 ルリ子が、スカートをはいている洋子の足
を見て言った。
 いつも、ヨットに来るときはジーンズばか
りで、夏のクルージングのときも、短パンを
着ていなかった洋子なので、ヨットの仲間は
洋子の足をあまり見たことなかった。

「あーん、恥ずかしいから、あんまり見ない


でくれないかな」

 洋子は、ルリ子に言われて、本当に恥ずか
しそうに、手でスカートの下から出ている自
分の足を隠しながら言った。

 洋子は、あわててマリーナのクラブハウス
脇にある小さな女子更衣室に入ると、そこで
パンツに着替えた。

 横浜マリーナのクラブハウス脇のところに
は、小さいが男女それぞれにトイレも完備し

た更衣室があった。

 クラブハウス内部には、ちゃんとした大き
な鏡やシャワー室も完備した立派な更衣室に
それとは別にトイレも、お風呂もあるのだが
職員が少なくなる夜は、防犯のため、クラブ
ハウスを閉めてしまうので、夜の来訪者のた
めに、脇にも小さな更衣室を作ってあるのだ
った。

 今夜のラッコのように、夜に出航するとき
などには、会員たちは、クラブハウス脇の更


衣室を便利に利用していた。

第81回につづく


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