クルージングクラス優勝

横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第130回

「おいおい、マリオネットはすごいじゃない
か!」

 レースの計算をしていた望月さんが、突然
大声を上げた。

「どうしたの?」

 麻美が聞いた。

 皆も、望月さんの声に驚いていた。

 レース艇のオーナーだけに、望月さんの声
は、普段でも低く大きな声をしている。
 大好きなヨットレースの話になると、さら
に声が大きくなり、興奮してしまうのだ。

 レースの計算結果を書いた紙を、皆に見せ
ながら、望月さんは隆に言った。


「マリオネットの今回のレースの成績は、ク
ルージング艇では一位だよ」
「本当ですか?」

 隆は、望月さんに言われて、もう一度レー
ス結果の紙を見直した。

 かなり上位には、食い込めたとは思っては
いたが、まさか一位になれているとは思って
もみなかったのだ。

「一位か!」

 それを聞いて、隆よりも、もっと興奮して
喜んでしまっていたのは、マリオネットのオ
ーナーの中野さんだった。

「マリオネットは、いつも、このぐらいの走
りをしていたら、今年のクラブレースの。年
間を通して、総合優勝もできたかもしれなか
ったな」

 望月さんは、言った。

 今日のレースは、一年間を通して、横浜マ


リーナの最後のクラブレースだった。

「よし、来年は、もっとレースを頑張ろう」
「頑張ります!」

 中野さんが、自分のクルーたちに言うと、
松尾さんや坂井さんたちが答えていた。

「ラッコは、来年もクラブレースは、本部艇
をするんでしょう?そしたら、隆君も、レー
スの日は、いつもマリオネットに乗ってくれ
よ」

 隆は、中野さんに言われた。

「どうする?佳代」

 隆が、佳代に聞くと、

「レースも、けっこう楽しかったから、私は
参加してもいいよ」

 佳代は、隆に答えていた。

「私も、レースって一度出てみたいな」


 麻美が言って、それに雪が頷いていた。さ
らに洋子までもが頷いていた。

「よし。じゃあ、来年のレースのときは、皆
で代わりばんこに、マリオネットさんに乗せ
てもらおうか」

 隆は、皆に言った。

「私は?」

 いつもレースの記録係を担当しているルリ

子が、隆に聞いた。

「ルリ子も、順番にマリオネットに、レース
のとき乗せてもらおう。レースの記録は、そ
のときは他の人に代わりにやってもらえばい
いだろう」

 隆は、ルリ子に言った。

第131回につづく