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おめでとう!世界一周

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横浜マリーナ会員の斎藤智氏が執筆した大人のためのクルージングヨット教室を題材にしたマリン、セイリングクルーザー小説。

クルージング教室物語

第77回

 9月の最初の日曜日は、残暑の残る快晴だ
った。

 ラッコのメンバーは、いつもの日曜日のよ
うに、その日もヨットでセイリングするため
朝早くから横浜マリーナに集合していた。

 いつもならば、ヨットを出す準備をして、

海に出かけるのだったが、その日は、マリー
ナに残って、ヨットの整備をしていた。

 9月は連休が多く、次の連休には、また大
島にクルージングに行くことになっていた。
 それで、今日は、そのためのクルージング
準備を兼ねたヨットの整備をする日になった
のだった。

「毛布を入れておく場所あるかな」

 麻美は、大きな毛布を持ちながら、船内の


ロッカーを開けて、ロッカーの中に毛布を入
れる空き場所を探していた。

 9月になってくると、だんだんと夜は寒く
なってくるので、夏のようにタオルケット1
枚というわけにはいかない。
 麻美は、毛布がないと眠れないだろうと家
から持って来たのだ。

「オイルの交換しようかと思ったけど、まだ
きれいだからいいか」

 隆と洋子、雪は、エンジンルームを開けて
エンジンを覗きながら話している。
 整備といっても、ラッコは、進水してまだ
半年しか経っていないので、それほど悪い個
所も無かった。

 デッキだって、毎週ヨットを出し終わった
後に、皆できちんとデッキブラシで水洗いし
ているので、それほど汚れていない。

 午前中、少し掃除をしたら、もう殆どやる
ことが無くなってしまっていた。


 皆は、お昼を食べた後、横浜マリーナ内を
ぶらぶらと歩き回っていた。

 岸壁の間を歩いているカニや水面に浮かん
でいるクラゲを眺めていたりしていると、3
2フィートぐらいの木造のヨットが横浜マリ
ーナのポンツーンに入港してきた。

 見慣れない船だった。

 そのヨットは、2本マストのヨットで、イ
ンド洋とかを走っていたら、まるで昔の海賊

船と見間違えてしまうようなヨット、帆船だ
った。

 ヨットは、横浜マリーナの大型クレーンに
接岸すると、スタッフがクレーンで上架して
いた。

「こんにちは」

 隆が、ヨットに乗っていた初老の男性に声
をかけた。
 ヨットには、その男性のほかに、もう一人


女性と犬が一匹同乗していた。

 三人は、いや二人と一匹は、そのヨットを
ヨーロッパ、イギリスで中古で購入して以来
世界じゅうを巡っているそうだ。
 ヨーロッパからアフリカ、アメリカへと渡
り、オーストラリア、ニュージーランドに行
き、その後は南太平洋を7年間ずっと航海し
続けているそうだ。

 今回、日本に寄ったのも、帰国したわけで
はなく、世界周航中の一国として日本に立ち

寄ったに過ぎないそうだ。

 あと何年、何十年かかるかわからないが、
ゆっくりと巡って、出発したイギリスの港に
戻るつもりらしかった。

第78回につづく


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